薄力粉と小麦粉は、どちらもよく耳にする食材名ですよね。
レシピの材料欄にもよく書かれている食材ですが、この2つの違いを理解できていない方は多いように感じます。
「違い」などと言うと、「薄力粉と小麦粉は同じものでは?」と疑問を持たれるかもしれませんね。
薄力粉と小麦粉の関係が分かると、小麦粉と書かれていても薄力粉で代用できる場合や、薄力粉と小麦粉を同じように使うことができる場合があることがわかります。
この記事では薄力粉と小麦粉の関係を解説していきますので、作りたいものにあわせて適切に粉を選べるようになりましょう。
目次
小麦粉と薄力粉の関係
薄力粉は、小麦粉の種類の一つです。
小麦粉の中でも薄力粉は家庭料理で使われる機会が多いので、小麦粉と薄力粉は同じものであると認識している場合もあるでしょう。
これは大きくは間違っていないのですが、小麦粉には他にも種類がありますので、薄力粉と小麦粉は全く同じものとは言えません。
小麦粉とは、小麦の粒を製粉したものですよね。
この原料となる小麦の種類によって、小麦粉にもいくつか種類が存在するのです。
また、小麦の粒を外皮ごと製粉すれば「全粒粉」となり、小麦の粒の胚乳部分だけを粉にした白いきれいな状態を「小麦粉」と呼びます。
厳密に言えばこのように呼び分けられるものの、日常的には全粒粉のことも小麦粉と呼ぶことがあります。
つまり、薄力粉と小麦粉の関係は「薄力粉は小麦粉の一種で、日常的によく使用するもの」ということになります。
小麦粉の種類と使い分け
小麦の粒で食用の用途が多いものに
・普通小麦(パン小麦)
・デュラム小麦
があります。
デュラム小麦から作られた粉は「デュラム粉」で、主にパスタ類の製造に使われます。
よく食べられている種類ではありますが、普通小麦から作られるその他の粉とは性質が異なりますので、ここでは普通小麦から作られる小麦粉の種類と用途について、説明していきます。
種類を左右するのは「グルテン」
小麦粉の種類と用途を整理するうえで、知っておきたいポイントが「グルテン」です。
グルテンとは、小麦に含まれるたんぱく質によって形成されるもので、小麦粉に水を混ぜてこねていくと生地となる性質は、このグルテンの働きによるものです。
グルテンが形成されることによって、パンが膨れたり、ケーキの生地がふんわりしたりといった小麦製品の特性が発揮されます。
グルテンには粘りと伸びがありますので、生地が空気を抱き込んで、ふんわり焼きあがるのです。
しかし粘りもあることから、作りたいものによってグルテンをあまり形成したくない場合と、グルテンをしっかり形成したい場合が出てきます。
小麦には種類によって、たんぱく質含有量が多いものと少ないものとがあります。
たんぱく質が多いものはグルテンを多く形成し、少ないものはグルテンの形成量も少なくなるので、小麦粉をたんぱく質含有量で使い分けているのです。
薄力粉
薄力粉は小麦粉の中で、たんぱく質含有量の少ないタイプの粉です。
生地はふんわりさせたいけれど、あまり粘り気を出したくないような場合に用いられます。
ケーキや焼き菓子といったものの多くは薄力粉を用い、料理でもてんぷらのように軽く仕上げたい場合には薄力粉が使われます。
そのほか、ムニエルや揚げ物の衣、下ごしらえで振る小麦粉といった場合には薄力粉を用いることが多いので、多くの場合は「薄力粉」「小麦粉」の表記に区別なく同じように使っても問題ないでしょう。
中力粉
小麦粉の種類では、中間的なたんぱく質含有量を持つのが中力粉です。
主な用途は、うどんなどの麺類。
適度なコシとなめらかな喉ごしの両方を実現したいので、中間的な存在である中力粉が用いられます。
ご自宅でうどんの麺を打つ場合には、薄力粉で作るとややもの足りない仕上がりとなるでしょうから、この場合はこだわって中力粉を買い求めましょう。
強力粉
小麦粉の中で最もたんぱく質含有量が多いのが、強力粉です。
主な用途は、パン。
パンのように生地をこねてから発酵させてふんわり仕上げたいような場合には、グルテンをしっかり形成する必要があります。
この用途はなかなか薄力粉では代用できないでしょう。
パンをご自宅で作らない場合には強力粉を持っていないことが多いと思いますが、強力粉は「打ち粉」としてもよく使われます。
打ち粉とは、クッキーやパイ、またはうどんなどを作っていて生地を伸ばす際に、台に生地がくっつかないようにふるっておく粉のこと。
小麦粉の粒子が大きい強力粉はきれいに台に分散しますし、生地に使われている粉よりも粒子が粗いので、生地を広げていく最中に容易に混ざっていかず、使い勝手が良いのです。
薄力粉で小麦粉の代用になるもの、ならないもの
小麦粉の種類がわかりましたので、薄力粉で小麦粉の代用になるもの、ならないものを整理してみましょう。
代用になるもの
小麦粉に含まれるでんぷんの働きを重視して、グルテンを形成しすぎない方が良い料理。
・スポンジケーキ
・パウンドケーキ
・クッキー
・ホットケーキ
・天ぷらの衣
・下準備で魚や肉の周りにまぶす粉
・ムニエル
・すり身やひき肉のつなぎ
などがあります。
代用にならないもの
グルテンをしっかり形成して利用したい料理。
・パン
・麺類
・ぎょうざやワンタンの皮
・パスタ類
などが挙げられます。
まとめ
薄力粉は小麦粉の一種で、多くの場合は同じように使っても良いものです。
うどん、パンなど特定のものを除けば、薄力粉は小麦粉として代用して問題ないでしょう。
薄力粉を使う際には、適度なグルテン形成を意識して、生地が均一になるように混ぜながらもグルテンが形成され過ぎてねばつかないように気をつけると、良い食感が実現できますよ。
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